チャイニーズ ウィスパー。。。伝達ゲーム

『なんかおかしいと思っていたけど、やっとわかったわ。』

突然、母が言った。

何の事かと聞いてみると、どうも朝ドラの衣装のことらしい。

なんでも、主人公の従兄弟役の俳優が着ている着物の襟が白だったそうだ。

『男性の普段用着物の襟は通常グレーやブラウン等の渋い色で白を使うのは

僧侶のような特殊な職業の人だけなのに今の若い人は知らないのね。』

と、半分あきれていた。

知らなければそんなものなのだが、知っている人からみれば気になる。

時代劇を作る場合、本を読んだり縁の地に訪れたり色々な勉強をまずされることだろう。近現代ドラマの場合はその時代に生きていた人がまだいらっしゃるのに、話を

聴きに行かないのかと不思議に思う。

現在放映中の朝ドラは衣装や小道具で驚かされる事が多い。

主人公や主人公の姉の結婚式の参列者が喪服だったので、これから出征していく配偶者達がこれから戦死することを暗示しているのかと思いきや二人とも元気に帰ってきた。

大金持ちの主人公やそのお友達が結婚式に参列するならきっと目が覚めるような金糸

銀糸の刺繍やしぼりの大振り袖だろう。既婚者は留袖だが、まさか真っ黒な着物で

出て来る人は庶民でもいないはずだ。

普段の食事風景でも箸置きがない。

食卓も実家の洋館はきちんとしたダイニングテーブルだったが、戦後の主人公達の家は

ちゃぶ台に毛の生えたようなテーブルにリビング用の椅子で食事をしている。

庶民にはセレブの生活なんて想像もつかないとはいえ、映像化するなら出来るだけ

本物に近づけてほしい。

明治、大正、昭和初期に生まれた人達と直接話が出来るチャンスはまだある。

なのに今の頭で今風に近現代史を書き換えるのはどうなのかと思う。

伝達ゲームは途中の人がいい加減だと真実が伝わらないのだ。